「デューデリジェンス」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
デューデリジェンスとは、「due(適正な)」「diligence(努力)」という意味で、あるものを適正に評価するための調査のことです。日本においては、M&Aや企業間取引などでよく実施されています。
そのほかには、不動産の売買においてもデューデリジェンスが行なわれます。大きなお金が動く不動産取引においては、契約の対象となる不動産を適正に評価する必要があるからです。
ここでは、不動産売買におけるデューデリジェンスの意味や内容、調査する際の3つの観点について紹介しています。ぜひご覧ください。
不動産売買におけるデューデリジェンスとは、物件購入を検討している買主が、物件に対して行う調査のことです。
通常の不動産売買では、買主は実際に物件を内覧したり、売主が提示する売買契約書などの資料から物件情報を確認したりして、最終的に購入を決定します。
しかし、当然ながらこれらの情報だけでは、物件のことをすべて知ることはできません。中には物件が魅力的に見えるように、売主によって工作がされている例もあります。
このような場合、買主は物件のリスクを正確に見極めることができず、想定していた収支計画を大幅に変更せざるを得なくなってしまう可能性があります。
そこで実施するのが、デューデリジェンスです。売主や業者から事前に説明された情報は正しいのか、提示されている購入条件は適正なものなのか、売買対象の不動産を様々な側面から調査、検討します。
デューデリジェンスを実施することで、買主はリスクの見極めがしやすくなり、安心して不動産を購入することが可能です。
不動産売買におけるデューデリジェンスでは、主に「法的」「収益」「物理的」の3つの観点から物件の調査を行います。それぞれの内容は次のとおりです。
①法的観点
不動産売買には様々な法律や権利関係が絡みます。これらが不明瞭な状態のまま売買をしてしまい、後にトラブルになることも珍しくありません。
このようにネガティブな情報を持つ物件は、買主に敬遠されてしまうため、売主側から積極的に開示されないことも多いのです。
購入を検討している物件に法的な問題が潜んでいないか、しっかり確認するようにしましょう。
②収益観点
収益の側面からのデューデリジェンスでは、不動産の現在価値・経済的価値を見極めます。不動産投資物件を購入する上で、物件価格の整合性や適正な将来価値を知ることは非常に重要です。物件購入後の賃貸経営にも、大きな影響を与えます。
収益面を確認する際は、収入などのプラスの側面と、修繕費用などのマイナスの側面の両方を確認することが大切です。
実際に期待できる収支の計算をし、本当に自分が思い描く収支計画を達成できるのかを確かめるようにしましょう。
③物理的観点
不動産売買におけるデューデリジェンスですから、不動産そのもの、つまり物理的観点からも調査を行います。
実際に物件を見て確認したり、物件に関する過去の工事・修繕記録を確認したりして、現在の建物の状態を確認するようにしましょう。
日本ではデューデリジェンスが行われるのは企業間取引が中心です。個人の不動産売買においてデューデリジェンスを実施することには馴染みがありません。
しかしアメリカでは、不動産売買の際にデューデリジェンスを実施することは一般的です。売主は詳細な物件情報を開示する義務があり、買主は物件を徹底的に調査し、双方が納得した場合に売買が成立します。日本の不動産売買には定着していませんが、アメリカでは当たり前のようにデューデリジェンスが行われていることを理解しておきましょう。日本でも徐々にデューデリジェンスが根付いていく可能性があります。
この記事の最後に、改めてデューデリジェンスの大事なポイントを確認しましょう。
今後、日本においても、デューデリジェンスが当たり前のように実施される日が来るかもしれません。ここで紹介した内容を把握し、物件選びや不動産投資に役立ててください。
不動産売却について様々な情報を元に専門家による無料相談を承ります。是非ご利用ください。