投資用の不動産物件は、様々な工夫や対策を実施することで、収益性(=利回り)をアップさせることができます。
では、実際に利回りを上げるためには何をすればいいのでしょうか。
この記事では、特に商業系のテナントが入居する事業用不動産の利回りを上げるためにできることを、具体的に3つお伝えしていきます。
あなたがお持ちの物件に対しても、できることがあるかもしれません。ぜひこの記事をお読みいただき、実践してみてください。
まず検討したいのが、建物自体の価値を高めることで、より質のいいテナントに長く入居してもらうための工夫をすることです。具体的な例を挙げてみていきましょう。
まずは内外装や設備の工事、いわゆるリフォームやリノベーションと呼ばれるものです。これは特に築年数が古く、老朽化が進んだ物件で有効な対策です。
大前提として、店舗やオフィスビルなどの事業用不動産に関しては、築年数の経過の影響を居住用不動産ほど強く受けるわけではありません。
しかしながら、建物を見ただけで管理が行き届いていないことが分かってしまう状態であったらどうでしょう。配管や建物設備が老朽化しているために、安全に使えない状態のまま放置されているのであれば、最悪の場合テナント側は業務に支障が出ることになります。
このような状態では利回りを上げるどころか、入居テナントの確保すらできません。
また近年発生している大規模な地震災害の影響で、建物の耐震性を気にする人も増えています。
旧耐震であり何の対策もされていない建物というのは、どうしても耐震性を満たした物件よりも敬遠されてしまうものです。
入居の条件として新耐震基準が必要である業種などは別ですが、何かしらの耐震補強策がなされているとあれば、旧耐震であってもアピールポイントとなります。
大規模な改修工事が難しいようであれば、間取り変更などの簡易的なリノベーションの実施を検討してみましょう。
具体的には、お持ちの物件付近の出店状況を確認し、どのような業種に需要があるのかを考え、その需要にあった賃貸方法を考えるのです。
ワンフロアが広すぎるのであれば、いくつかの区画に分割しましょう。反対にワンフロアだけでは足りないのであれば、複数階一括での賃貸を検討しましょう。
こちらに関しては、現在の出店のトレンドなどを不動産会社に聞いてみるのもいいかもしれません。
なお、建物の価値を高める手段は様々ありますが、どれをとっても相応のコストと時間がかかります。
工事を実施する場合、費用は何年で回収できるのか。それによりどの程度の効果が期待できるのかは、長い目で見て判断する必要があります。
事業用の投資不動産の中には、なかなか入居するテナントが決まらないために賃料収入が得られず、利回りが低いままであるということもあります。
しかしいたずらに賃料を下げてしまうのは、収入が減るばかりであまり得策ではありません。
このような場合は、入居時の初期費用を抑えることで、入居しやすい環境を整えましょう。
フリーレント期間を設けることは、有効な手段のひとつです。
フリーレント期間を設けると一定期間賃料収入を得られないので、一見収益性が悪化しそうです。
しかし、物件を探しているテナントの中には、ビジネスを立ち上げたばかりで高額な初期費用が用意できず、なかなか借りることに踏み切ることができない人もいるのです。
もちろんこのようなケースは、ビジネスの実現可能性やテナントの支払い能力など、確認すべき事項が多いことは言うまでもありません。それらをすべて確認した上で、初期費用の値下げやフリーレント機関の設定などを検討しましょう。
フリーレントを設定したものの、すぐに退去されてしまっては、こちらも大きな損害が発生します。
テナントが長く借りてくれそうであり、かつ事業の継続の可能性が高いのであれば、初期費用は多少であれば目をつぶっても良いでしょう。
そうすれば、実際の賃料を減額する必要はありません。
このように、フリーレントと引き換えに長期間の賃借人が見つかるのであれば、それは十分に費用対効果の高い投資と言えます。
こちらに関しても、周辺の競合物件との兼ね合いを見ての判断が重要です。テナントやオフィス物件の運用に長けた不動産会社に聞いて、検討してきましょう。
賃貸部分の使用用途を緩和する代わりに、賃料を少し上げるという手段もあります。
例えば、飲食店を入居させると建物の劣化を招くという理由から、募集をかける時点で飲食系のテナントをお断りしているビルの区画を、どうしても借りたいと思っている中華料理店があったとします。
このような場合、賃料の値上げや保証金の積み増しなど、賃貸条件を厳しくしたとしても、その中華料理店は入居を検討してくれる可能性が高いです。
募集の際は最初から特定の業種を断るのではなく、窓口を広く設けてみましょう。案外、思いもよらぬ好条件で申し込みを入れてもらえるかもしれません。
ただし、そもそも用途地域的に不可とされている業種であったり、建物の規約上で禁止されていたりする場合もあるため、用途の緩和を検討する場合はきちんとした事前調査が必要です。
また、むやみに受け入れ業種を拡大することで、既存テナントとのトラブルに発展する場合もあります。事前の段階で、入居予定テナントを含めた関係者全体で打ち合わせの時間を取り、認識に違いが生まれないようにしましょう。
以上、収益不動産の利回りを上げるためにできることを紹介してきました。
どの方法でも、初期段階での費用の負担などはやむを得ないですが、それでもやってみる価値はあるものだと思います。
自分の物件にはどの方法が向いているのか、どうすれば収益性が上がるのかは、プロである不動産会社に相談してみるのも手です。打てる策はすべて打ち、利益の最大化を図りましょう。