建物の安全のための設備について「消防設備」や「防災設備」という言葉を聞くことがあると思います。この二つの用語について、その意味が同じなのか、それとも何らかの違いがあるのかは、あまり意識されていないようです。
実際、この二つの用語は混同されている部分があるようで、一つのホームページなどでも最初は「消防設備」という用語が用いられていたのが、途中から「防災設備」という用語に置き換わっているというようなこともあります。そこで、本稿ではこの二つの言葉の意味および違いの有無について考えてみましょう。
(1)消火設備…水その他消化剤を使用して消火を行う機械器具又は設備
消化器及び簡易消火用具(水バケツ、水槽、乾燥砂、膨張ひる石又は膨張真珠岩)
屋内消火栓設備
スプリンクラー設備
水噴霧消火設備
泡消火設備
不活性ガス消火設備
ハロゲン化合物消火設備
粉末消火設備
屋外消火栓設備
動力消防ポンプ設備
(2)警報設備…火災の発生を報知する機械器具又は設備
自動火災報知設備
ガス漏れ火災警報設備
漏電火災警報器
消防機関へ通報する火災報知設備
警鐘、携帯用拡声器、手動式サイレンその他の非常警報器具及び非常ベル、自動式サイレン、放送設備
(3)避難設備…火災が発生した場合において避難するために用いる機械器具又は設備
すべり台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋その他の避難器具
誘導灯及び誘導標識
それぞれ消防設備と防災設備の内容を見てきましたが、それらを踏まえた上で、消防設備と防災設備の違いを考えてみましょう。
一般的な文字のニュアンスからすると、消防設備とは「消」という文字があることから、火災が発生した場合に、それを「消す」為の設備というイメージがあるように思われます。
そして、防災設備は「防」という文字が使われていることから、災害が発生することを「予防する」ための設備というイメージがあるように思われます。
一方で、具体的に見てきた設備の内容からすると、上記の説明は必ずしも実態に即していない面もあります。
消防法第1条は消防の目的の一つとして「火災の予防」を掲げており、そのための消防用設備として警報設備が含まれています。そのため消火設備といえども、必ずしも消火のみを目的としたものではないと言えるでしょう。
また防災設備についても、必ずしも災害を防ぐことを目的とした設備だけであるとは限りません。
災害の予防に始まり、実際に災害が起こった場合に人や財産を被害から守るものまで含まれると考えることもできるでしょう。
消防設備については法律上の定義が定められている為、その範囲は法律上確定できます。一方、防災設備については、法律上の定義されておらず、その範囲はある意味、曖昧な部分もあります。火災はもちろんのこと、それ以外の各種災害をも視野に入れ、対策として用意されている設備が「防災設備」であると言えるかもしれません。
「消防設備・防災設備の違い」について詳しくご説明いたします。物件購入を検討されている方のお悩み無料相談を承っておりますので、まずはお問い合わせください。